平成が幕を開けた1989年、私は札幌のホテルから転勤で、ここ銀座のホテルに来る機会を得ました。当時、そのホテルは活気に満ちていて、夕方になると、着飾ったホステスさんや着物姿のママさんたちがレストランに来店されました。
もちろん、殿方と同伴です。
ラウンジには大きなバッテリー付きの携帯電話を持った、こわもてのお兄さんが大勢。
まさにバブル真っただ中、100席以上ある店は曜日に関係なく大盛況でした。
それから20年余りたった今、銀座は大きく変わりました。
当時、ホテルマンの憧れだった「ホテル西洋銀座」や大手デパートが姿を消しました。
クラブやスナックでにぎわっていたビルは居酒屋チェーン店になり、各業界の激安店の看板が目に付きます。
当時からは想像もつかなかった変わりようです。
ただ、変わらないものもあります。それは お客さまです。
「十勝屋」にお見えになるお客さまとの会話で「世界各国に旅をされて、各地のおいしい物やワインを知っているな」とか、「遊び上手だな」と感じるとき、やはり銀座のお客さまの質の高さは変わらないと思います。
変わらないものがもう一つ。それは夜明け前の銀座です。人通りの多い日中にはできない道路工事やビルメンテナンス、塵芥(じんかい)収集。きらびやかな表舞台を支える人々の光景は今も同じなのです。
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