今から40年ほど前、私が高校の修学旅行で見た東京の景色は、どんよりとした梅雨雲が漂い、しとしと雨が降っていました。
初めて経験する湿度の高さと特有の空気の匂い、建ち並ぶ家と家の間隔も恐ろしく狭い。
北海道しか知らなかった私は、あまりの環境の違いに相当ショックを受けた記憶があります。
そんな東京に移り住んで、はや25年。「住めば都」とはよく言ったもので、JR山手線の駅ごとに異なる風景を眺めながらの散策も、楽しみの一つになっています。
家内と二人、親戚も知り合いもいないこの地で授かった息子たちは、すっかりここに根を下ろしています。今秋から、長男は巡査として都内で勤務することになりました。
ともすれば命を盾にする仕事に就く息子に「つらかったら、いつでも帰って来い」と言いたい気持ちを抑え、「じゃあ、頑張れよ」と声を掛けるのが精いっぱいでした。
近所の都立小金井公園を走る私の後ろで、家内がこぐ自転車の前かごに乗り、「パパ、1等賞!」と言ってくれた幼い日の光景を、昨日のことのように思い出します。
公園の坂を登ると、立派なソメイヨシノの木があるのですが、桜の咲く頃、家族みんなでよく見に来たものです。
|